シミズ タカヒロ
  清水 隆裕   看護学部 看護学科   教授
■ 標題
  登る世界と降りる世界を貫く鉛直軸 : 看護におけるケアリング、人格的交流、教育の哲学的再解釈と日本的再構築
■ 概要
  現代の医療現場は、科学的合理性(医学モデル)と効率性を追求する「登る世界」と、人間の弱さや有限性に寄り添い、ケアリングに基づく実存的領域である「降りる世界」という二つの異なる価値体系の狭間にある。本稿は、これらを対立概念ではなく、J.WatsonやP.Benner らのケアリングの哲学的基盤を再考し、両者を貫く第三の視座として、中空に起点を置き倫理的重力に向かう「鉛直軸(The Plumb Line)」を提示する。日米の文化的・組織構造的相違から、看護臨床ではケアリングの実践に困難がある。Galtung の平和学や、看護学用語の検討を踏まえ、聖隷クリストファー大学の建学の精神「生命の尊厳と隣人愛」に鉛直軸概念を接続する。これは、構造的・文化的暴力に抗い、看護専門職のアイデンティティ「act of Being:存在に根ざして立ち上がるありかたそのもの」を実践的構造として再構築する試みである。
  ◎入江拓 清水隆裕 髙木悟 松本有希
  共著   聖隷クリストファー大学看護学部紀要   34,29-39頁