ワタナベ タクマ
  渡邉 拓真   国際教育学部 こども教育学科   助教
■ 標題
  森の探索遊びが幼児に与える影響の検討
■ 概要
  本研究は,森の自然環境に対して当初消極的な態度を示していた幼児1名を対象に,森の探索遊びに関与していく過程を質的に分析し,その環境との関係変容プロセスを明らかにすることを目的とした。広島県内の森の自然環境を有する幼稚園において参与観察を行い,ビデオ記録をもとに幼児の言動を詳細に記述した。分析にはTrajectory Equifinality Modeling(TEM)を用い,幼児の経験プロセスを時間的・関係的に整理した。その結果,対象児の探索遊びへの関与は,【第Ⅰ期 抵抗と依存の入り口期】【第Ⅱ期 誘いが心を動かす期】【第Ⅲ期 身体から世界が開く期】【第Ⅳ期 森とつながる期】の4期に整理された。初期には不安や回避が顕著であったが,他児との相互作用や身体的な試行錯誤を通して,森の環境が危険を想起させる対象から行為を可能にする資源へと意味転換していく過程が確認された。TEMを用いることで,行動の結果だけでなく,選択されなかった可能性や環境の意味が再編成され,関係性が変容していく過程を可視化できた点に,本研究の意義がある。
  単著   聖隷国際教育研究   聖隷国際教育学会   3,117-127頁   2026/03